「クリス」 伸ばされた腕をはねのける。まるで子供の癇癪だ。判っていたけれど、止まらなかった。 「だってそれしか私にエアを護る方法なんてないじゃないか!!」 それだけがクリスに出せた答えだったのだ。 「……クリス!」 何度目かに名を呼ばれて。 左の手首に鈍い痛みが走った。なにかをひどくぶつける音。左腕と背中に固い扉の感触。 そのすべてが遠かった。 鮮明に感じたのは涙の塩味と、 声を封じた温かななにか。 「……クリス」 そっと唇を離して、息のかかる近さでエアリアスがもう一度呼んだ。
「だってそれしか私にエアを護る方法なんてないじゃないか!!」 それだけがクリスに出せた答えだったのだ。
「……クリス!」
何度目かに名を呼ばれて。 左の手首に鈍い痛みが走った。なにかをひどくぶつける音。左腕と背中に固い扉の感触。 そのすべてが遠かった。 鮮明に感じたのは涙の塩味と、 声を封じた温かななにか。
「……クリス」 そっと唇を離して、息のかかる近さでエアリアスがもう一度呼んだ。