白珠の巫女

あとがき


 びっくりです。
 終わってしまいました…………。
 3月内に終わる終わると言いながら、書いてる本人が一番信じられない気分です。よもや本当に宣言どおりに――むしろ宣言よりはやく、完結を迎えることができようとは。どなたも期待していなかったほうに一票入れたい気分です。ええ本当に。2ヶ月弱での更新が「早いですね!」といわれる作家ですから(笑)

 これだけ長い間、リアルタイムで読んでいただきながら書き続けるというのはほとんど初めての経験で、とても楽しく書かせていただきました。多忙な時期にラストスパートをかけることが出来たのは、待っていてくださるみなさまがいると信じられたからだと思います。本当に、いただくメッセージのひとつひとつが励みになっていました。この場を借りて、あらためてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 クリスとエアという、私の中に生まれたキャラクターを愛してくださったこと、とても嬉しく思っています。クリスは思えば初めて私が書いた「等身大の悩める主人公」のような気がします。もちろんけして平凡な設定ではないですが、彼女の悩みや不安に共感してくださったかたがいらしたことがとても励みでした。今まであまり書かなかったタイプで、気持ちを添わせるのにずいぶんと苦労させられましたが、今では最も思い入れのあるキャラクターとなりました。悩んで迷って時に後ろ向きになりもしながら、最後に自分の真実を掴むことができたなあと、親ばかながら思っています。彼女がひとつの答えを出したSTAGE17では、たくさんの祝福のメッセージをいただくことができて、本当に嬉しかったです。彼女の後半生はあのような形で語ることになりましたが、はたしてどのように受け止めていただけるでしょうか。どきどきしています。
 クリスが私の分身に近いのに対して、エアは完全に私の趣味というか、理想がひとの形をとったものかもしれません。彼に対するご感想はいろいろで、綺麗で可愛いところ(笑)を気に入ってくださるかたも、意外と強引だったりしたたかだったりというところを気に入ってくださるかたもいらして、感想を読ませていただくのが面白かったです。私はと言えば、ときどき彼の性別を忘れていたような気が……(笑)ことさら女性的に書いたつもりはもちろんないのですが、よくこんなタイプのキャラクターがヒロインの恋愛相手として受け入れられたものだと、振り返ると不思議な気もします。よく考えるとめちゃくちゃ倒錯的な設定ですし……。世の中、案外私と趣味の合う方もいらっしゃるのねと、自信を持つことができたのも、この作品を書くなかでの思わぬ収穫かもしれません。

 主人公ふたりにも、かれらをとりまく脇役たちにも、宝珠の国フェデリアにも、まだまだ未練はたっぷりあります。とくに、気の毒な役回りのエドマンド君には、どこかで幸せになってもらわなくては……。どのような形になるかわかりませんが、またこの世界を書くことができたらと願っています。そのときにはまた、あたたかく迎えてくださると、嬉しく思います。
 書きたいことは尽きませんが、きりがありません。書かれなかった別のラストや、隠し設定などのネタは、また別の場所でお披露目いたしますね。

 ながながとおつきあいいただきまして、本当にありがとうございました。
 私に幸せをくださった貴方に、どうか素敵な幸運が訪れますように。


 

2003年3月某日 文月夕

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