Century20 CARD XVII ―指針星―


あとがき


気がついたらおもいっきり朔が主役を張ってくれました。Century20でこんなに朔ばっか書いたの初めてだ……(笑)いやあ、主役向きの男ですよね。大変書きやすかったです。おかげで匡がほとんど登場してくれなくて作者はさみしかったですが。そんなあからさまなひいきをしていいのか作者。
ゲストヒロインの梨花子さん、もうちょっと書き込みたかったかもしれません。匡が選ぶのはいかにも女性的な美人ばかりですが、朔がつきあうのはまた別のタイプでしょうね。美人は好きだけど面食いではなさそうです。美人は3日で飽きるそうですが、3日どころじゃなく美人と一緒にいるからな。
彼らがともに過ごした50年のあいだに、今回のようなエピソードはきっといくつもあっただろうと思います。それでも懲りずに毎回傷ついてるのが朔、もうとっくに感情移入しなくなっているのが匡、なのかな。はてさてどちらが繊細なのでしょう。

文中の「桃栗三年〜」のことわざにはいくつかの別バージョンがあるようですが、話を思いつくきっかけになった、私自身の記憶にあるものをほぼそのまま引用してみました。柚=大馬鹿説もよく知られてるみたいですが、さすがに柚の花で書くのもアレなので(笑)
タイトルはよっぽど「桃栗三年柿八年」あるいは「梨の大馬鹿十八年」にしようかと最後まで悩んだんですが、けっきょくいつもどおりのタロットシリーズです。しかしこれも書き上げてから決めたのであまり出来が良くないですね。本当は戦車chariotを使いたかったのですが、どうしても内容にそぐわないので星にしてしまいました。英語ではpolestar、北極星の事をも指す言葉ですね。朔にとっての匡は未来への道を示す輝き――なんていったらちょっと気障かな。

しかしこの外伝、番外編競作企画【その花の名前は】に参加するために書き始めたものの、えっらい難産でした。けっきょく、締め切り一週間前にやっと書き上げたという体たらくで。ずいぶん長いことほったらかしてほかの作品を書いていたせいか、ノリがつかめなくて苦戦してます。いえ、匡と朔のかけあいはいつもとても楽しく書いているんですけど(むしろ書きすぎないようセーブしなきゃなんですけど)地の文の語調とか、心理描写と説明のバランスとか、そういうのの感覚が……。
番外編ということで、独立して読めるエピソードで書いたつもりなんですが、どうでしょうね。あまり説明していないのでわけわからないかもしれません。

ともかく、楽しんでいただければ幸いです。……本編もがんばって書きますので、どうかのんびりおつきあいくださいませ。

(2003.8.23)


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